君は太陽のような人でした。
疾うに汚れてしまった私には眩い程に、太陽のような人でした。
初めて君と出会った日から、もう何年が過ぎたのでしょうか。
わからなくなるくらい関係が続いてしまいました。
私は酷い人間です。
酒と女にだらしがなく、人を傷付けることばかり得意で、誰かに愛してもらえるような人間ではなかったのだと思います。
金がなければ悪い仕事もしたし、痛む心などありませんでした。
それでいて自分が傷付くことには繊細で、身勝手にも程がある人間でした。
君と出会って人が変わったといえば大袈裟かも知れませんが、私は誰かを傷付けて涙を流すようになったのです。
それまでは裏切られ悲しい思いをする人間が馬鹿なのだと信じ、裏切られる前に裏切るばかりの人生でした。
人を愛し、自分よりも大切だと思うことは、こんなにも素晴らしいことだったのですね。
私が決して誠実な人間でないことは、誰しも気付いていたのだと思います。
それでも私を愛してしまう可哀想な女は、私がドラッグを辞められない理由と然程も変わりない、たかが依存性だったのでしょう。
君の始まりも或いは。
しかし、私が君を知るように君もまた私を知り、変わっていったのではないでしょうか。
愛と依存は双子のように似ていますが、依存というのは宗教です。
それがいつしか愛に変わり、洗脳で人の心までは奪えないと知るのです。
愛してるなんて口ではいくらでも云えますが、眞に人を愛してしまうと、案外云えなくなってしまうものですね。
心の底から誰かを愛する尊さを、心の底から誰かに愛される尊さを、私は君に教えてもらったのでしょう。
いつまでも続くのだと勝手に勘違いし、蔑ろにしていたのだと思います。
君はこんなに強くなったのに、私だけが弱いままで。
大切な時間を奪っておいてこんな事を云うのは烏滸がましい限りですが、私は幸せでした。
君に贈られた幸せなのだと身に染みて思います。
自分が不甲斐なくて、嫌になります。
私に、愛を、人の心を、教えてくれてありがとう。
日常の小さな幸せにすら、私は気付かない人間だったのです。
私に君の幸せを願う資格があるのなら、せめてそう在りたい。
君は太陽のような人でした。
君の耀きをどうか、遠くで見守らせてください。
君は、太陽のような人でした。