奇形のクラゲ

実に実りの無い話

菫は菫色

友が自ら命を断ちました。

決して容易な選択ではなかったと思います。

優しくもか細く、菫のような女性でした。

生きていればいつか良いことがあるなんて、良いことがあった人間の言葉です。

止むことのない雨の中で、生きたいと思える末つ方の糸が切れてしまったのでしょう。

やる瀬ない。

彼女の悲しみは彼女のものであり、私のものではないと頭では理解していますが、それでもやはりやる瀬ない。

どうか天国で、ゆっくり休んでください。

あなたは、これを読んでいるあなたは何のために生きていますか。

概して人は悩みます。

そして、その答えが不慥かなまま生きています。

私は誰かに憶えていてほしい。

菫が、菫色であるように。

それが当たり前であるように。

人はいつ死ぬのか。

きっと誰からも忘れられ、最期の手向け花が枯れたときでしょう。

心臓が鼓動を辞めても、人は誰かの心に生き続けます。

しかし、その誰かさえいなくなってしまえば、初めからいなかったのと変わりないのでしょうか。

私は、誰かの心に残る人間でありたい。

私がいなくなっても、こんな碌でもない人間がいたよと笑い話にしてほしい。

然すれば私は、生きていた頃と変わらないじゃないですか。

それが叶わぬなら生きていても意味がない。

私は彼女を、あなたを忘れない

あなたは私の心に生き続けています。

あなたを愛した総ての人の心に、生き続けています。

菫は、今日も菫色です。