秋晴と冬夜を々くして語らうは、甚だしくも美しい情景であります。
濁り湯に反照する陽射は、その貌が無邪気なように紅葉していましたでしょうか。
貴女にとって一番の幸福に成れない私は、一番の不幸でありたいと思うのです。
残された青痣だけが私を視て笑うのです。
何方にも成れない私を視て、私が、私を笑うのです。
愛は性欲の飾りに過ぎず、性欲もまた繁栄の飾りに過ぎない。
ならば私は、何を以てあなたの頸を絞めるのでしょう。
このままあなたが死んで仕舞えば、最期の不幸は私によるものなのです。
また一緒にどこか行きたいね、という言葉を聴いて、殺さなくてよかったと安堵しました。
きっと、いつか誰しも私を忘れて生きてゆくのでしょう。
私も、溺れるなら温泉がいいな、なんて事を思うようになりました。
愛が、私の歪んだ愛が、せめて赤紫蘇の味でありますように。