奇形のクラゲ

実に実りの無い話

精神患者の妄言

キル・ユア・ハニー

秋晴と冬夜を々くして語らうは、甚だしくも美しい情景であります。 濁り湯に反照する陽射は、その貌が無邪気なように紅葉していましたでしょうか。 貴女にとって一番の幸福に成れない私は、一番の不幸でありたいと思うのです。 残された青痣だけが私を視て笑…

火葬

幼子の頃、御厄介になった方が亡くなりました。 とても強い人でした。 強さ故に脆くもある人でした。 とても、とても数奇な人生でした。 私の母親代わりであった彼女は高貴の生まれで、典型的なお嬢様でありました。 あて布だらけのネルシャツを着ていた私と…

新春を憂う

明けましておめでとうございます。 皆様は新春をどうお過ごしでしょうか。 錆びた排水溝が如く御神酒を流し込まれた私の喉は焼け爛れ、文字通り春の暖かさを宿しております。 対照に寒空の下で吹く一筋の白煙は、'19年製ワンショットパイプからの年賀状でご…

液晶のゴースト

都心に向かう鈍行列車の中で、人々は皆5インチ大の液晶に無表情を反射させています。 いつからか意思はモニターを介して疎通されるようになり、意気は指先の動きで投合されるようになりました。 スマートフォンという掌サイズの文明の利器は、無数の娯楽を齎…

毒物人間

何故か一定数、一緒にいると気を病んでしまう人種が存在します。 原因を辿れどそこに明確な根拠は存在せず、只々その人と共通の時間を浪費すると、心が擦り減るのです。 他者の心臓の鼓動を負値に陥れる程根の暗い人間ではなく、同時に底抜けに明るい訳でも…

検死のマゾヒスト

日本では、年間約300人もの方がセルフSMで死亡しているという現実をご存知でしょうか。 アジアを代表する変態国家日本と言えど、この数字は大変由々しき事態です。 私は生粋のサディストでありますからセルフSMをする方の気持ちは分かり兼ねますが、マゾヒズ…

熱に視る夢

幼い頃から丈夫にできていて、滅多に風邪を引かない私ですが、偶の休日だというのに熱を出してしまいました。 思えば今週は寝不足続きで、疲労が溜まっていたのかもしれません。 一日中寝込んでいると、よく昔の事を思い出すのです。 薄暗い坂の途中にある木…

麻ましき贅沢

マンチーという言葉をご存知でしょうか。 大麻を摂取した際の食欲増進作用の事です。 日本の誤った薬物教育のせいで、違法ドラッグに手を染めると見る見る痩せてしまうなどという認識が広がっていますが、大麻は寧ろその逆。 摂取すると忽ち食欲が刺激され、…

避妊失敗ベイビー

親に望まれて生を亨け、相応の数の友人に恵まれ、それなのに誰にも愛されていないと嘆く人間が私は大嫌いです。 高校に進学して数ヶ月経ったある日、些細な事で両親と揉め、大きな喧嘩へと発展しました。 その時、私が避妊失敗により生まれて来たことを告げ…

失読ルーズ

最近ブログを書いていて文章力があるとの有難いお言葉を頂くのですが、私は活字が読めないので何ともお答えし辛い所存です。 幼い頃より読書が大の苦手で、読書感想文を書かされる夏休みが憂鬱でした。 私は人生でたったの2冊しか、本を読了したことがありま…

子宮中退

私の母は先天性の甲状腺機能亢進症で、子供を作る事が出来ないと医師に診断されていました。 しかし現に、私と妹の心臓は他の人間と何ら変わらず鼓動している訳で、普段小説を読まない私に“事実は小説よりも奇なり”という慣用句を使う資格があるかは解り兼ね…

友達が死んだ日

私は過去に2人、友達を亡くしています。 1人は病死、1人は自殺です。 私に“さよなら”と言い残し首を吊ったのは、2歳下の女の子でした。 首元で切り揃えた黒髪が似合うその子は人体改造が趣味で、左のニップルにピアスが開いていたのを覚えています。 彼女は…

溺れる遺骨

現在は大分良くなったのですが、中学生までの私は誰がどう見ても強迫性障害の子供でした。 信じ難い話かとは思いますが、自分がしたくも無いことをやらなくてはいけないという強迫観念に突如足首を掴まれ、身動きが取れなくなるのです。 あれは小学生の頃、…

色覚ノイローゼ

私が見ている赤とあなたが見ている赤は果たして同じ赤か、今でもよく不安になるのです。 私たちの眼は、光受容体に光子が衝突するとその衝突エネルギーを電気エネルギーに転換し、一次ニューロン・二次ニューロンを伝達して視神経へと集めます。 もし、人間…

大人になるって

11時間に及ぶ夜勤を終え例の如くアルコールを胃に流し込んでいる私が、“大人”を説くというのは何とも滑稽な話ではありますが、今日は成人の日、多めに見て欲しいところであります。 私は2年前に成人式を迎えており、今更「大人になるって」などというタイト…

奇形のクラゲ

私は水族館に行くのが好きで、年間パスポートを持っている程でありますが、最近気付いたことがあります。 私は水族館にいるほとんどの時間をクラゲに費やしており、他の魚は一瞥する程度で、あとは少しお土産ショップを見て回り帰路に爪先を向けるのです。 …